医療保険診療における不正請求、不当請求とは?
まずは、監査要綱に監査の目的 があります。
「保険医療機関等の診療内容又は診療報酬の請求について、
不正又は著しい不当が疑われる場合等において、
的確に事実関係を把握し、公正かつ適切な措置を採ること」
とあります。
※保険診療における指導・監査(→保険診療における指導・監査 厚生労働省HPより)
そこで、「保険診療の理解のために」として (→保険診療の理解のために PDF 印刷注意P66あり)
厚生労働省保険局医療課医療指導監査室より、各行為について、解説が記載されてます。
「不正請求」とは、詐欺や不法行為に当たるもの
例えば、
・その月に受診していない患者の保険証番号を使って、前の月と同じ内容の診察を請求した。
→架空請求
・1か月に2回しか診察していないのに再診料を4回請求した。
→付増請求
・実際に行った創傷処置が50㎠であったにもかかわらず請求は500㎠~3000㎠で行った。
→振替請求
「不当請求」とは、算定要件を満たさない等、診療報酬請求の妥当性を欠くもの
例1 診療録に腫瘍マーカーの検査結果・治療計画の要点を記載していないにもかかわらず、悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定している。
例2 専ら画像診断を担当する医師が読影していないにもかかわらず、画像診断管理加算を算定している。
例3 診療録にモニターの要点を記載をしていないにもかかわらず、呼吸心拍監視を算定
している。 そのほかにも様々な指導料や管理料があると思います。その算定要件を確認してください。「要点を記載する。」「指導した資料を添付する。」などがあって、算定できるものとしているはずです。
健康保険法上の処分の基準
監査要綱には下記のとおり記載があります。
保険医登録・保険医療機関指定取り消し処分の基準
故意に不正又は不当な診療(診療報酬の請求)を行ったもの。
重大な過失により、不正又は不当な診療(診療報酬の請求)をしばしば行ったもの。
故意ではなくとも、重大な過失が認められれば、健康保険法上の処分の対象となりうる。
監査後の措置
・行政上の措置
保険医療機関・保険医の
・指定・登録の取消(取消処分)
・戒告
・注意
取消処分となった場合、原則として、5年間は再指定、再登録を行わない。
・経済上の措置
診療内容または診療報酬の請求に関し不正、不当の事実が認められた場合、
原則として5年間分を返還する。40%の加算金が加えられることもある。
令和元年度の指導・監査の実施状況(厚生局)
(→令和元年度の指導・監査の実施状況) 令和3年1月12日付け
随時、更新状況を把握しておりましたが、令和3年1月12日付けで令和元年度の実施状況が掲載されておりました。(令和3年1月23日記載)
※令和元年度の指導・監査の状況(PDF)
不正請求・不当請求とカルテへの追記は注意
不正請求・不当請求のことについては、わかっていただけましたでしょうか?
たいしたことがないと思って、不正請求や不当請求を行っておられませんか?
それらに該当する行為は絶対にやってはいけないのです。
電子カルテの場合は、注意が必要です。個別指導の通知が来ているのなら、記載の記録が残るでしょうから、追記はご注意願います。カルテの改竄とされてしまう恐れがあります。
さらに、個別指導や適時調査となった時には、聞かれた質問内容への回答だけをしていただくようお願いします。余計なことを話して墓穴をほることの無いようお願いします。
不正請求・不当請求と受け取れかねない行為への対処方法
もし、不正請求や不当請求と受け取れかねない行為であれば、個別指導や適時調査までに時間があってもなくとも、該当する患者さんの診療報酬請求明細書(レセプト)の「返戻依頼」を行って下さい。患者さんの一部負担額の差額があれば、返金等の手続きをとってください。
何もしないで、指摘され、監査に移行したのでは、「処分」されてしまいます。
最悪は保険医、保険医療機関の取消処分です。そうなる前に、「返戻依頼」を行っていただき、処理してください。また、3号紙も、訂正していただくようお願いします。
個別指導の通知の理由が、不正請求や不当請求の通報(厚生局等への電話や文書にて)があったからかもしれません。通知後でも、該当するレセプトの返戻依頼を行ってください。自身で正しい診療報酬請求をし直していただくようお願いします。指摘がされないことは補償できませんが、そのことによって最悪の事態を回避できるかもしれません。(できないかもしれません。)
回避できるかもとしたのは、厚生局さんは保険診療の点検を行うプロです。やましいことはわかってしまうでしょう。どれくらい効果があるかは残念ながら、わかりません。
厚生局さんの監査に移行してしまうと何度も呼び出しがあったり、より厳しく見られてしまいます。
また、しつこくて申し訳ありません。何度も記載しますが、個別指導通知後の、追加でカルテに記載してはいけません。(←改竄による証拠隠し、悪質とされてしまう恐れがあります。)
監査になってしまっては絶対にだめです!
なんとか、個別指導や適時調査までで終わらせましょう。
監査に移行してしまえば、何度も厚生局に呼び出されるはずです。さらに、事前準備や自身の病医院の該当する項目の点検に疲弊してしまいます。返金もありますし、監査は結果も公表されてしまいます。絶対にだめです。
不正請求でないのであれば、認めないようお願いします。ごまかすようにお話するのはいけませんが、回答にご注意いただくようお願いします。
※個別指導対策支援・適時調査対策支援(事務分野)を行っています。事前準備、資料作成、直前準備、模擬チェック、事後調査、事後報告までを支援しております。お問い合わせください。(電話019-613-8827 問い合わせ(メール)→問い合わせ)
(関連投稿→指導・監査対策 に当事務所での支援・対応方法として「新規個別指導」「個別指導」「適時調査」の項目毎に記載しております。参考まで)
料金一覧
報酬(税込) | 手数料 | 計 | 備考 | |
---|---|---|---|---|
掲示物院内確認(無床診療所) | 55,000~ | 55,000~ | ||
新規個別指導事務対策 | 220,000~ | 220,000~ | 対策指導 | |
個別指導事務対策 | 220,000~ | 220,000~ | 対策指導 | |
適時調査事務対策 | 275,000~ | 275,000~ | 1病棟増¥22,000 対策指導 | |
改善報告書作成支援 | 33,000~ | 33、000~ | ||
医療監視事務対策 | 99,000~ | 99,000~ | ||
定例報告書作成支援 | 33,000~ | 33,000~ | 提出期限7月末 | |
研修会開催(1時間) | 50,000~ | 50,000~ | ||
顧問契約(病院) | 月額 | 年額換算 | ||
顧問契約HA | 16,500 | 198,000 | 基本料+相談 | |
顧問契約HB | 27,500 | 330,000 | 施設基準+相談 | |
顧問契約特別HSA | 38,500 | 462,000 | HB+適時調査 | |
顧問契約特別HSB | 49,500 | 594,000 | HB+優先適時調査+医療監視 | |
顧問契約(診療所) | 月額 | 年額換算 | ||
顧問契約CA | 16,500 | 198,000 | 相談 | |
顧問契約CB | 27,500 | 330,000 | 相談+個別指導 | |
顧問契約CC | 38,500 | 462,000 | 相談+優先個別指導 |
関連投稿について
「指導・監査」対策を行う理由として
・わたしが、なぜ「指導・監査」対策を掲げているのか?それは、病医院さんに潰れてほしくはないからです。
・「監査」になってはだめです。精神的、肉体的負担が大きすぎます。個別指導・適時調査で終わらせましょう。
・保険医療機関、保険医の取り消しは「保険診療」の十分な理解ができていないからです。「適切な記録」ってありますか?
「指導・監査」への対策を行なうために →「保険診療の理解のために」より
厚生労働省保険局医療課医療指導監査室作成を参照にて
・「保険診療」とは国と保険医療機関との契約です。契約違反は罰せられます。ルールは守りましょう。
療養担当規則関係
・なぜ、保険診療2? 「指導・監査」(個別指導、適時調査、監査)
・なぜ、保険診療3? 療養担当規則と保険診療を行う基準(療養担当規則 第1章)
・なぜ、保険診療4? 保険医は国の定めた診療方針に従わなくてはならない。(第2章)
「指導・監査」それぞれについて
・「集団的個別指導」とは → 集団的個別指導、準備は特に必要ありません。でも必ず出席してください。
・「新規個別指導」とは → 新規個別指導とは、開業一年目が対象です。
・「個別指導」と選定方法 → 個別指導の選定は?高点数が続くのと、通報されると対象になります。通報されての個別指導は危険です。
・「個別指導」への対応支援 → 診療所やクリニックの院長先生へ、厚生局実施の個別指導への対策はお済みですか?
個別指導対策と病名整理 → 個別指導対策と病名整理はどうしたらよいか
・「適時調査」への対応支援 → 適時調査への対応 依頼があれば、模擬での調査を行います。
・ 現況概略と対策方法 → 個別指導・適時調査への備えは? やってないと大変です。全国での返還金額約72億円。対策をお手伝いします。
・「不正請求」と「不当請求」の定義 → 不正請求・不当請求(このページです)
・新規個別指導・個別指導への持参資料からその対応を考える。 → 新規個別指導・個別指導への持参資料からその対応を考える。
・不正請求や不当請求などの不適切な行為後の対応 → 不適切な行為後の対応方法
対策方法の提案 依頼するメリットはあるのか?
特別なテクニックはあるのか?
個別指導・適時調査で指摘された後に作成する改善報告書の作成について
行政書士などの業務について
7月31日期限で、施設基準届出の確認書類作成について
行政書士 佐々木浩哉