病医院の特別室(個室/差額ベッド)の支払いですが、入院したとしても支払わなくともよい場合があります。そこで、1.特別室(個室/差額ベッド)って? 2.料金支払いの約束 3.支払わなくともよい場合とは ついでに 4.病院の会計は事前にわかることができます と題して説明します。
特別室(個室/差額ベッド)って? どういう病室が対象になるのか
個室料金を支払う特別室(個室)、差額ベッドとも言われますが、病床全体の5割までの病室(床)をあてることができます。そのほかの要件としては、①病室は4床室まで、②1人あたり6.4㎡以上、③プライバシーの確保(カーテンでOK)、④特別室として適切な設備があること。以上4点が条件となっています。個室とも言われますが、4人までが認められていることに驚く方もいらっしゃいます。
以前は椅子やテーブルなどと品目を指定したものが必要とされていましたが、平成30年度の診療報酬改定で、個々の物品の明示が無くなり、「必要な設備があること」となりました。(保医発0305第6号 平成30年3月5日付文書 P14~P17(全体はP55あり)内に記載) (→一部改正についてPDF P55あり印刷注意)
病院の方針で、かなり多くの特別室(個室/差額ベッド)を設置することができます。
個室であっても、特別室とはせず、保険診療でカバーされる1人部屋(重傷個室)や2人部屋(重症個室)もあります。こちらは、医療上の必要性から、重篤である患者さんなどの要件があり、同じ入院料の患者さんの10%を超えないことも必要です。
現在の病院のトレンドとしては、1部屋4床(人)の病室が一般的です。そのほか、1部屋2床(人)、1部屋1床(人)です。時々、4人まで入院できそうな病室に3床となっていることもありますが、様々な医療器械を装着することまでを想定していたり、病院では、部屋毎に入院可能な人数を届け出ておかなければならないので、数合わせのような場合もあるのです。
複数人数の病室内で、プライバシーの保護といっても、どこまでを求めるのかというと、カーテンで仕切れば良いこととなっていますので、視線だけはさえぎることはできますが、声はさえぎることは難しいです。
通常建物の場合、図面には壁芯といって、壁の厚みを含まない数字が用いられていますが、②の面積には、実測値が用いられます。図面上で、面積の基準をクリアしているとなっても、それでは不足です。現れている空間としての面積です。壁の厚さは、均一かどうかは不明ですし、部屋によっては、柱の取り方次第で、狭くなっていることもありますので、実測するしかありません。
特別室(個室/差額ベッド)料金の支払い
急患で運ばれてきて、特別室(個室/差額ベッド)料金の説明なんて、とても聞いている状況ではないでしょう。その際は、付添いでいらした方に対応していただくこととなります。患者として支払う料金としての特別室(個室)料金です。料金等について明確かつ懇切ていねいに説明していただかなくてはなりません。ものすごく簡単な説明であったり、ある意味騙されるような言い方(言い方もあるでしょう)で個室に入ることになって、料金を請求されてもたまりません。また、確実に同意することも必要であり、この同意の確認については、内容を明らかにした文書を渡されて、署名をすることで、特別室(個室/差額ベッド)料金など、支払うことを約束したこととなります。(保医発0320第2号 平成30年3月20日付文書)(→一部改正についてPDF)
特別室(個室/差額ベッド)料金以外でも、保険診療外の自費負担させても構わないものがあります。それらについても、説明があることになっています。
なお、上記のサービス内容については、料金を病医院内の見やすい場所に掲示すること、しかも分かりやすくしなくてはならないですし、読めないと意味がありません。どこにあるか、患者さんとしても確認することも必要ですので、文字が小さすぎて読めない場合は大きくしていただくよう、要望を伝えることも可能です。(同 平成30年3月20日付文書)(→一部改正についてPDF)
特別室(個室/差額ベッド)料金を支払わなくても良い場合とは(重要)
料金を支払わなくても良い事例については、1の文書(平成30年3月5日付文書 P16 12(8))に記載があり、(→一部改正についてPDF)下記のとおりと決められています。
12 特別の療養環境の提供に係る基準に関する事項
(8)①同意書による同意がない。又は不十分 ②救急患者、術後患者等であって、病状が重篤なため安静を必要とする者、又は常時監視を要し、適時適切な看護及び介助を必要とする者・免疫力が低下し、感染症に罹患するおそれのある患者・集中治療の実施、著しい身体的・精神的苦痛を緩和する必要のある終末期の患者・後天性免疫不全症候群の病原体に感染している患者(希望時は除く)・クロイツフェルト・ヤコブ病の患者(希望時は除く)③MRSA等に感染している患者であって、主治医等が他の入院患者の院内感染を防止するため、実質的に患者の選択によらず入院させた患者・特別療養環境室以外の病室が満床であるため、特別療養環境室に入院させた患者
ちょっと難しかったかもしれません。
「十分な説明があって、自分(達)の意志で入室し、同意書があること。」このことだけが要件です。(病院は)重篤な場合は重傷室に入院させなければなりませんし、感染症であっても多人数、個室は関係ありません。それは病院の都合ということになります。
平成30年7月20日追加で通知がでており、下記のようなことがあれば(→疑義解釈(その6)PDF)、特別室(個室)料金は支払う必要がないとしています。
・医療現場において、特別療養環境室以外の病室の病床が満床であった場合
・特別療養環境室の設備構造、料金等についての明確な説明がないまま、同意書に署名させられていた場合
・入院の必要があるにもかかわらず、特別の料金の支払いに同意しないのであれば、他院を受診するよう言われた場合
※もしも上記のようなことがあって、不適切な事例だったら、すぐに計算・会計を担当する方にお話ししてください。
相談料はかかりますが、相談くださっても大丈夫です。ただし、電話による相談はお受けしていなくて、メールでの相談になりますので、レスポンスは悪いです。料金についても、メールで返信します。ご了承ください。まずは、医療費等に関する相談であること。相談の概要を記載すること。相談の内容によって、困難な事例であれば、高額となる場合もあります。
なお、今は、各都道府県に「医療安全支援センター」なるものができており、そちらに相談することもできそうです。(→医療安全支援センター)(令和5年9月27日追記)
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医療機関に支払う金額は、あらかじめわかることになってます。
医療費については、通常、2年毎に改定されます。
中央医療審議会というところでの議論が行われます。厚生労働省が公示といって、厚生労働大臣名で、全国民に対してのお知らせがでます。(3月5日前後の公示、月末までに疑義解釈通知、4月1日施行で新しい医療費で計算。と慌ただしいです。)
そして、保険診療以外の料金については、保険医療機関(病医院)内に必ず掲示することとなっています。
その保険診療以外の内容については、明確な説明と同意書への署名があることが求められています。
保険診療は国がお知らせし、病医院ごとに定める保険診療外については病院内に掲示もするし、該当する項目については、十分な説明と同意書への署名が求められます。
保険医療機関(病医院)のサービスを受ける前(直前でも)に全ての料金を、知り得る状態となっています。
※「病院から請求書が来たけど、内容がよくわからない。しかし、職員には内容を聞きづらい」などの場合にも、どうして、この料金になるの?などのご相談もお受けしております。(メールで)
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行政書士 佐々木浩哉