適時調査への対策
適時調査への対応については、年々、厳しくなっているとの情報はあります。わたしのホームページの閲覧ワードにも、「適時調査」「新規個別指導」「個別指導」「監査」「対策」とか「うまく乗り切る方法」とかいうのが結構あります。
掲示物を確認すると改善点がわかりますので提案します。
適時調査や個別指導の対策とするものの中で、すべての項目の後に作成や点検となるのが掲示物です。掲示物を拝見させていただければ、どのくらいのことまで保険診療に対応できているのかがおおよそわかります。
後は、先生方の診療の仕方、その中でのカルテ記載、指示の状況などを拝見させていただければ、事務的立場からの保険診療に関して改善しなくてはいけないことがわかります。
先生方の診療そのものについて、批判することではありません。事務的分野で最終的に行うこと。それが、掲示です。要は結果ですから。
どんなに、先生の腕や患者さんの評判が良くとも、保険診療に係る事細かい内容まで、すべてに対応できているとは思えません。ただし、ほんのちょっとの改善だと思うんです。
そこのところを様々な点検項目の中から、提案させていただくだけです。
保険診療は誰でもが担当はしてますが、こと、適時調査への対応については、どのくらい対応できていらっしゃいますでしょうか。そこに特化して、検討してみてはいかがですか?
掲示が必要なものの規定はさまざまにあります。
「施設基準等」「入院時食事療養費」「保険外併用療養費」「保険外負担」 これらは、適時調査の際の事前提出資料となっております。内容をきちんと把握されていらっしゃいますでしょうか?
おそらく、個別指導でも、同様のものを事前に提出するよう、指示があるはずです。そのほかにも、掲示しなくてはならないものはあるので、その件についてもチェックいたします。
「保険医療機関」との表示、施設基準によっては、「病棟看護職員の配置数」「施設内禁煙」「臨床検査に係ること」「概要説明の掲示」などなど。
「コンタクトレンズに関すること」や「診療内訳の発行に関すること」についても会計窓口に掲示しておかなくてはなりません。
更に個人情報保護法に関することや広告に関する制限などもあります。その「個人情報保護に関すること」についても、掲示していらっしゃいますでしょうか?
適正な保険診療の調査と検査をする側の視点から対策を考える。
指導をする側だったら、どんな所をみようとするかを考えて、対策をしていくしかありません。検査の要綱や項目は、もう出ています。
指摘事項については、もう過去の情報ですが、どのようにチェックしているかの参考にできます。そして、本当に適正な保険診療を行っているかの確認ができれば良いのです。
病院での適時調査への事前対応について(内部点検とする場合)
実際に、適時調査となった場合の対応をどうすれば良いか?『良い印象をもっていただき、できるだけ早く調査を終わっていただき、帰ってもらうこと。』
適時調査であれば、保険診療とその中の施設基準にどう対応しているかを確認しにくるわけですから、何を尋ねるにしても、関係する書類はすぐに見たいはずです。
レスポンスの早さは、適時調査への対応を良くやっているだろうことを想像させます。施設基準の申請書の控えなどは、申請した時のまま、綴っておくのではなく、項番順にしておき、
関係書類も一緒にして、すぐに閲覧可能な状況にしておく必要があります。再度、要件を確認し、必要な実績が何かを明らかにして、その存否と内容のチェックを行います。
もちろん、ひとつの綴りとしてすぐ取り出せる状態にしておくことは必要です。
施設基準担当者と事前チェックについて
普段、担当される方が、「大丈夫です。」というのであれば、その言葉は信じますが、念には念をいれます。事前チェックです。担当者でない方が、指導する立場となって、ただちに模擬での適時調査内容をチェックしてください。そのいとまがないというのであれば、私がお引き受けします。
もし、不備な点があれば、人海戦術で対応です。なんとか、確認資料や必要なマニュアル指針。(申請時は通ったのでしょうが、改正はしなくてはなりません。)各議事録。
できるだけ、大人数で、すぐに作成を開始して、完了してください。当たり前ではありますが、必要なものとされたものが、調査当日に無いことがあってはなりません。
同様に、月次の確認資料です。まずは、存否を確認し、なければ、すぐに作成です。完了後は、点検して要件を満たしているのかを確認してください。
適時調査、当日の対応について
予め準備しておく資料などについては、適時調査を行う会場に予め持参しておいてください。会場ではなく、別室に保管したままにしておき、探しに行くといいながらの時間稼ぎは止めてください。
誠実な対応ではありませんし、悪い印象しか与えません。ただの時間の浪費です。時間さえ、経過すれば良いのではなく、チェックリストが適正に埋まらないといつまで経っても終わりません。あまりにも、資料が出てこないと、有らぬ疑いをかけられ、最悪の場合、監査に移行されても不思議ではありません。
不正請求と不当請求
おそらくですが、病院の不正な請求は、組織的な関与がなければありえません。不正請求はないことが前提です。不正請求はあってはいけません。
不当な請求は、あり得ます。算定誤りであれば、時間はかかりますが、探し出して、返還するだけです。施設基準も要件を満たしていなければ、取り下げして、返還することで、表だって公表されることはありません。自主返還なのですから。
監査ともなれば
ただし、監査となって、その後、保険医療機関の取り消しや保険医の取り消しとなった場合は、不正請求の内容はもちろん、不当請求の内容もあらわになってしまいますので、ご注意を。
公会計では、返還する時期によっては、大規模な手続きが必要なこともあるとは思いますが、なかったものとして処理するしかないのです。
病院内部で対応する場合は、このようなところでしょうか。
受任した場合の対応
わたしが受任した場合も、同じようなことで進める予定です。もちろん、時期によっても対応も違ってきますし、課題のある内容次第で、わたしが行わないことがあり、委託していただく費用も必然的に安くはなります。(高くなる場合もあり得ます。)
模擬での適時調査を行います。
① 掲示物の存否と内容の確認
② 申請控えの確認
③ 月次確認書類の存否と確認
④ 適時調査内容に付いて事務的立場からの確認
内容のチェックをしますし、事務的立場から、不足するもの、修正するものについては、お示しして対応していただきます。対応していただいた後についても、再度確認いたします。
適時調査が行われたあとの処理です。改善報告書作成と返還すべき内容についての今後の措置をどうするかなどについても、できうるだけのアドバイスをいたします。
行政書士 佐々木浩哉