診療報酬改定と混合診療の誤解:同日診療の判断を中心に その2

「初診料・再診料等が算定できない」=「保険診療ができない」ではありません

健康診断・検診・予防接種等と同日に保険診療を行う場合

「健康診断や予防接種は自費だから、同じ日に保険診療を行うと混合診療になるのでは?」

このように考え、「健診等と保険診療は同じ日に行ってはいけない」と受け止めてしまうことがあります。インターネットで検索しても、「うちの病院(クリニック)では「健康診断を行った日に保険診療を行いません。別日に予約して診察を受けてください。」

というところがたくさんあります。

しかし、これは混合診療と診療報酬の算定ルールを混同したものです。

健康診断・検診・予防接種等と保険診療を同日に行ったというだけで、直ちに混合診療になるわけではありません。

一方で、令和8年度診療報酬改定では、健診等と同日に保険診療を行った場合の初診料・再診料等の算定について明確化されています。

ここで、特に注意したいのが、

「初診料・再診料等を算定できない」ことと、
「保険診療を行うことができない」ことは、別の問題である

という点です。


同日に保険診療を行うことはできる

健診等を受けた日に、患者さんが疾病について診療を必要とすることがあります。

例えば、

  • 健康診断の結果、疾病またはその疑いがあると判断された
  • 健康診断とは別に、患者さんが症状を訴えた
  • 予防接種のために来院した患者さんが、別の疾病について診療を希望した

といった場合です。

このような場合に、

「健診等が自費だから、その日の保険診療も自費になる」

ということではありません。

健診等と保険診療は、それぞれを区別して取り扱います。


ただし、初診料・再診料等は算定できない

ここが今回のポイントです。

令和8年度診療報酬改定では、健診・検診・予防接種等と同日に、1回の受診で保険診療を行った場合、初診料・再診料等を算定することはできないと明確にされています。

これは、保険診療の対象となる疾病が、

健診等に関する疾病であるかどうかにかかわりません。

つまり、

健診等に関する疾病だから初診料・再診料等が算定できない

というだけではありません。

健診等とは直接関係のない疾病について保険診療を行った場合であっても、同日に1回の受診であれば、初診料・再診料等は算定できません。

ここは、医療機関において特に誤解のないように整理しておきたいところです。


では、保険診療はどこまでできるのか?

初診料・再診料等が算定できないからといって、

「その日の保険診療がすべてできない」

という意味ではありません。

保険診療として必要な検査、画像診断、投薬、注射、処置、手術等については、それぞれの診療が保険診療の要件を満たすかどうかを確認したうえで、算定することができます。

つまり、

初診料・再診料等の算定不可

保険診療そのものが不可

です。

ここを分けて考えることが、最も重要です。


「同日=混合診療」ではない

今回の問題を整理すると、次のようになります。

健康診断・検診・予防接種等(自費)

同日の保険診療

これだけで混合診療になるわけではない

ただし、

同日に1回の受診で保険診療を行った場合

初診料・再診料等は算定できない

それ以外の検査・投薬・処置・治療等については、保険診療の要件を満たすかを個別に判断する

という整理です。


医療機関で押さえておきたいポイント

健診等と保険診療を同日に行う場合、

「同日だから保険診療ができない」

と考えるのではなく、

「同日1回の受診では、初診料・再診料等を算定できない」

と理解することが重要です。

そして、初診料・再診料等の算定と、その他の診療行為の保険算定は、分けて考える必要があります。

「初診料・再診料等が算定できない」=「保険診療ができない」ではありません。

同日に保険診療を行うことと、その診療について何を算定できるかは、別の問題です。

この違いを正しく理解することが、健診等と保険診療を適切に取り扱うためのポイントです。

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