インフルエンザ予防接種と同じ日に、初診料・再診料を算定していませんか?
予防接種と保険診療の併算定をめぐる問題と、もし返還が必要になった場合の実務対応
「インフルエンザ予防接種を行った日に、患者さんの診察もしたので、初診料・再診料を算定している。」
このような運用をしている医療機関は、一度、算定状況を確認してみることをおすすめします。
この問題は、令和8年度診療報酬改定によって突然生じたものではありません。
会計検査院による指摘、その後の厚生労働省の事務連絡、そして令和8年度診療報酬改定によって、健康診断等と同日に行われた診療についての初診料・再診料の取扱いが、より明確に整理されています。
そして、医療機関にとって本当に大きな問題になるのは、
「初診料・再診料を算定できるかどうか」だけではありません。
もし過去の算定について確認や返還が必要になった場合、
「何人を調べるのか」
「いくらになるのか」
「誰に、どう返すのか」
「その返金を、どうやって間違えずに管理するのか」
という、非常に大きな事務作業が発生する可能性があります。
私は、岩手県立病院の事務職員として34年間、医療機関の事務現場に携わってきました。
その経験から、この問題を「診療報酬の解釈」だけではなく、実際に医療機関が対応するときの事務作業まで含めて整理してみたいと思います。
まず確認してください
インフルエンザ予防接種と同じ日に、初診料・再診料を算定していませんか?
令和8年度診療報酬改定では、健康診断等と同日に行われた診療について、初診料・再診料の取扱いが明確に整理されています。
ここでいう「健康診断等」には、健康診断だけでなく、予防接種も含まれます。
つまり、
予防接種を行った日に、同じ患者について保険診療を行っている場合、初診料・再診料の算定について確認が必要です。
一方で、
初診料・再診料が算定できないからといって、その日に行った保険診療のすべてが算定できなくなるわけではありません。
例えば、処方箋料や検査料等については、それぞれの算定要件に従って判断する必要があります。
「予防接種と保険診療を同日に行ったから、全部が自費になる」
という話ではありません。
健康診断や予防接種は、「療養の給付と直接関係ないサービス」と明確に規程されましたので、保険診療そのものとは関係ないのです。よって、保険診療や自費との関係にはあたらないので混合診療になることは有り得ません。1点、注意することがあって、健康診断で疾病が見つかった場合、後日、その医療機関で同一の疾病について、治療等を行う場合に初診料が算定できないのは、以前と相違ありません。
ここを混同しないことも重要です。
なぜ、この問題が注目されているのでしょうか?
この問題については、すでに会計検査院が調査を行っています。
会計検査院は、特定健診等と同日に行われた診療について、
- 健診等に含まれる問診・診察
- 保険診療としての初診料・再診料
が、実質的に重複して評価されている可能性について指摘しました。
その結果、全国で約6億円の支払いが対象となる可能性があるとされています。
重要なのは、
「どこか一つの医療機関だけの問題ではなかった」
ということです。
実際の医療現場では、
- 健診と診療を別の行為として考えていた
- 自費診療と保険診療を別々に会計していた
- 「健康診断等」の「等」に予防接種が含まれることを十分認識していなかった
- 医事会計システムによって自動的に算定されていた
など、さまざまな事情が考えられます。
したがって、単純に「間違った請求をしていた医療機関」という一言で片付けられる問題ではありません。
では、もし過去の算定を確認することになったら?
ここからが、医療機関の現場にとって重要なところです。
例えば、
「過去のインフルエンザ予防接種日に、初診料・再診料を算定していなかったか確認してください」
と言われたとします。
すると、必要になるのは単なる検索作業ではありません。
① 対象患者を抽出する
何年分を確認するのか。
どの予防接種を対象にするのか。
対象となる患者をどうやって抽出するのか。
② 患者ごとの算定内容を確認する
患者ごとに、
- 初診料なのか再診料なのか
- 何点算定しているのか
- その他の診療行為は何か
- 公費負担があるのか
などを確認します。
③ 正しい金額を計算する
単純に初診料・再診料の点数を引けば終わるとは限りません。
患者の負担割合、公費負担、負担上限額などを考慮しながら、
「この患者に、実際にいくら返す必要があるのか」
を計算する必要があります。
④ 保険者等への対応を行う
必要に応じて、請求の訂正や返還などの対応が発生します。
⑤ 患者への返金を行う
ここが、実務上かなり大きな問題になります。
患者一人ひとりについて、
「誰に、いくら返すのか」
を明確にしなければなりません。
さらに、
「いつ返したのか」
も記録しておく必要があります。
数百人、数千人になったら何が起きるのか?
10人、20人であれば、通常の事務作業として対応できるかもしれません。
しかし、対象者が数百人、あるいはそれ以上になった場合は話が変わります。
例えば、
1000人に返金する
と考えてみてください。
1000人について、
- 対象者を確認する
- 金額を計算する
- 通知を作成する
- 患者へ連絡する
- 返金する
- 返金したことを記録する
- 未返金者を管理する
- 問い合わせに対応する
という作業を、一人ずつ行うことになります。
そして怖いのは、
1000人分の作業量そのものだけではありません。
「この人には返したか?」
「この人の金額は合っているか?」
「二重に返していないか?」
「公費分はどうなっているか?」
「患者から問い合わせが来たが、当時の計算根拠は残っているか?」
という、
管理上のミス
が発生しやすくなることです。
大量返還では、
「計算すること」よりも、「最後まで正確に管理すること」の方が難しくなる
ことがあります。
「患者に口座を聞いて振り込めばいい」では終わりません
返金方法についても、医療機関ごとに検討が必要です。
銀行振込を利用する場合には、患者から口座情報を取得し、振込先と返金対象者を正確に照合しなければなりません。
また、
「口座を教えたくない」
「郵送物を受け取ったが、どういうことなのか分からない」
「引っ越して住所が変わっている」
「本人が亡くなっている」
など、個別の事情が出てくる可能性もあります。
一方、窓口で返金する場合にも、
「窓口が混乱しない仕組み」
が必要になります。
つまり、
返金方法を決めるだけでは、返還業務は終わりません。
重要なのは、
返金方法を決めたうえで、
「誰に・いくら・いつ返したのか」を確実に管理できる仕組みを作ること
です。
私が考えたのが「RQS」です
私は、こうした大量の返還業務を現場で少しでも安全に進めるため、
「返金一括照会システム(RQS)」
を開発しました。
これは、医療機関の返金業務をすべて自動化するシステムではありません。
大量の返金作業を、間違えにくい形に整理するためのExcelツールです。
RQSでは、例えば、
- 患者ごとの返金額の計算
- 患者別の返金情報管理
- 返金通知等の作成
- 市町村等への提出資料作成
- 返金済・未返金の管理
- 返金状況の集計
などを、できるだけ一連の流れとして管理できるようにしています。
RQSが目指しているのは「返金作業をなくすこと」ではありません
ここは誤解していただきたくないところです。
RQSを導入したからといって、
患者への説明や返金そのものが不要になるわけではありません。
むしろ、人が判断しなければならないところは、人が判断する必要があります。
RQSが担うのは、
「人が判断する仕事」と「大量の数字や対象者を管理する仕事」を整理すること
です。
例えば、患者IDを入力することで、必要な返金関係書類を作成できるようにしたり、返金済み・未返金の状況を確認できるようにしています。
「この患者には返したのか?」
という確認を、担当者の記憶だけに頼らないようにする。
それがRQSの考え方です。
なぜ、私がこの仕組みを作ったのか
私は、岩手県立病院の事務職員として34年間勤務しました。
医療機関の事務では、
「制度上は正しい」
だけでは、仕事は終わりません。
実際には、
- どこからデータを取るのか
- 誰が確認するのか
- 誰が入力するのか
- どこで間違いが起きるのか
- その間違いをどう発見するのか
- 最後に誰が責任を持って確認するのか
まで考えなければ、現場では回りません。
RQSも、その発想から作っています。
最初の開発だけで60時間以上を費やし、その後も実際の業務を想定しながら改良を続けています。
マクロではなくExcel関数を中心に構築しているのも、医療機関のパソコン環境やセキュリティを考慮したためです。
「うちの場合、どのくらい大変になるのか?」
実際には、ここが一番知りたいところではないでしょうか。
医療機関によって、
- 対象となる患者数
- 対象期間
- 公費負担の有無
- 患者負担割合
- 使用している医事システム
- 保有しているデータ
- 現在の事務体制
が違います。
そのため、
「何人になるか分からないのに、返金作業だけ先に考える」
のではなく、
まず現在の算定状況を確認し、
「もし整理することになったら、自院では何件くらいになるのか」
を把握することが大切です。
そして、その件数が分かれば、
「院内職員だけでできるのか」
「返金方法をどうするのか」
「どこまで外部の力を借りるのか」
「RQSを使うメリットがあるのか」
を具体的に考えることができます。
私は「とにかくRQSを導入してください」とは考えていません
ここも、私が大切にしているところです。
医療機関によっては、対象者が少なく、通常のExcel管理で十分な場合もあります。
反対に、対象者が数百人、数千人となれば、通常の方法では管理が難しくなる可能性があります。
ですから、
まず現在の状況を確認する。
そのうえで、
どのような返還方法が現実的なのかを一緒に考える。
必要であれば、
その中でRQSを利用する。
という順番でよいと考えています。
もし、今この問題が気になっているなら
例えば、
- インフルエンザ予防接種と同日に初診料・再診料を算定している
- 過去の算定状況を確認したい
- 何年分を調べればよいのか分からない
- 対象患者が何人になるのか分からない
- 返金が数百件になりそうで不安
- 患者への返金方法をどうするか迷っている
- 職員だけで処理できるのか分からない
- RQSが自院のデータに使えるのか知りたい
という場合は、一度ご相談ください。
私は、単に「RQSというExcelを販売する」ことを目的にしているわけではありません。
医療機関が、もし大量の返還業務を行うことになったときに、できるだけ混乱せず、間違いを少なく、現場を疲弊させずに終わらせること。
それが、この仕組みを作った目的です。
まずは、現在の状況を確認してみませんか?
「まだ返還になると決まったわけではない」
「そもそも、うちが対象になるのか分からない」
という段階でも構いません。
まずは、
現在どのような算定をしているのか
過去にどの程度の件数があるのか
を整理するところから始めることができます。
RQSの実際の画面をご覧いただきながら、
- 自院ではどのように使えるのか
- 何件程度の処理が想定されるのか
- どの程度の事務作業になるのか
- 窓口返金と振込等をどう考えるか
- RQSを使う必要があるのか
について、具体的にご説明します。(←ここを無料で行うことができます。)
「うちの場合は、どうなるの?」
そう思われた方は、お気軽にご相談ください。
医療機関の事務を34年間経験した行政書士として、
制度だけではなく、「実際に現場でどう処理するか」まで一緒に考えます。
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